米に「Journal of Japanese Gardening (JOJG)」 という雑誌があるというだけでびっくりなのだが(日本庭園ジャーナルですからね)そこで昨年 日本庭園best20が発表され、あの「桂 離宮」を押さえて一位になった庭園美術館の話が 今月号の「JAF Mate」に載っていた。
島根県安来市にある「足立美術館」という施設である。
日本全国で389の庭園を実際に訪れ調査し、同美術館の庭園を「細部にまで維持管理が行き届いた造園の大傑作」と絶賛しています。知名度ではなく、質の高さや建物との調和、利用者への対応などをポイントにランキングしたそうです。ホテルの庭とかが、いくつか入っているのも、そういうスタンスで選ばれたものなのなのだろう。
雄大な借景を利用した庭園の写真を見たが確かに凄い。庭だけでなく横山大観と榊原紫峰らの近代日本画と河井寛次郎・北大路魯山人の陶芸作品、木彫、蒔絵、童画の数々およそ1300点をコレクションする美術館である。2200円の入場料は決して高くないと思われたし機会があれば一度訪問してみたい。
JAF Mateの記事には「これは日本美を体験できるテーマパークだ。庭園を眺めて「きれい」と声をあげ、大観の絵の前で「すごい」と叫ぶのが、この美術館としては実に正しい」としめくくっている。できて30年しか経っていない美術館だが自分の感性で1位に選ぶアメリカの素晴らしさに学ぶものがあるし、なにより日本庭園をひとつの文化として捕らえ注目している人たちがアメリカにかなりの数いるからこそ雑誌やこんな特集があるのだろう。アメリカに評価されて改めて注目されるという逆輸入パターンは少し哀しい。日本3庭園は入っていなかった。頑なに守っているつもりが木は育ち借景にはビルが建設され出来た当時の風情が損なわれてしまっている公園も少なくないのかも知れない。今の浜離宮では鷹狩はできない。高層ビルは江戸時代の日本庭園の借景にはなれないようである。平成の日本庭園のひとつの答えが足立美術館なのかも知れない。